この記事は日本へ引っ越しをされる非-日本語話者向けの記事(英語記事)と対になっており、移住・長期滞在当事者ではなく、それをサポートする人向けに書いたものです。上記の英語記事の翻訳ではありません。英語記事は移住・長期滞在当事者に読んでもらい、滞在初期にすべきこと、予想しておくべきことを共有することができるように書きました。
非-日本語話者にとって日本への移住や長期滞在の最初期は当然大きな負担がかかります。加えて、サポート担当として動く方にも、日本語以外の公共・民間サービスが充実しているとは言えない東京・大阪等の大都市以外での受け入れ時の負担はそれなりに重いものです。周囲に経験のある人がいたり、所属機関に情報の蓄積がなければ、手探りでの作業はなかなか効率的にとはいきません。私の経験から少しでも役に立つ情報がシェアできればと思い、この記事を書くことにしました。
基本的には奈良での経験をもとに書いていますが、他の地方都市でも変わらない部分もあろうかと思います。ストレスフルな時期や手続きをできる限り円滑に済ませ、その後の生活や仕事を楽しんでもらえますように!
なお、情報は全て2022年12月現在のものであり、それぞれのケースについてはご自身で確実な情報を当たってご確認ください。

到着からしばらく
海外から新しく来た人の生活セットアップを補助する場合、しなければならないことは大きく分けて二つあります。日常生活に係わること(住居、銀行口座、日本の携帯電話、クレジットカード等)と、行政的に必要な登録手続き(住民票登録、健康保険・国民年金)です。これらのセットアップを手伝うにあたり、本人の日本語が学習中の場合、サポートする人が各局面で大きくかかわることになります。賃貸は内見・契約・入居まで最低2週間程度は見ておいたほうがよいので、一時滞在場所が比較的長めに確保できている場合以外は、行政関連の手続きと併行して早めに動いていきましょう。
また、特に住居の賃貸借契約では、日本での身元保証人の情報やハンコが要求されますので、誰が保証人になるかはっきりさせておいた方が良いです。
一時滞在場所
所属機関で滞在場所の提供がない場合、
(1)到着後、家の契約をするまでに滞在する場所
(2)長期で住む家の確保
を順にする必要があります。今はほとんどの物件情報がオンラインでできますし、コロナ禍でこれまでより多くの不動産仲介業者がオンライン内見を提供するようになり、渡航以前のやり取りもスムーズになったとはいえ、大都市以外では本人が来店して契約書にサインすることを要求されることもあります。なにより、住む家については、現地で見たいと思うことが多いでしょう。
一時滞在場所については、ごく短期間であれば、本人の到着前に場所を確保してもらいましょう。ホテル、Airbnbなどはネットさえあれば自分で予約できるので、通勤や町の主要施設へのアクセスを考慮しおすすめを送るか、本人に任せて問題ないでしょう。Booking.comやAirbnbなどの多言語対応サイトや、楽天トラベル・じゃらんなどをウェブサイトの自動変換機能などを使って使うこともできます。
滞在が数か月の場合は、やや割高にはなりますが、レオパレスなどのマンスリーマンションは良い選択です。多くのマンスリーマンションで家具付きの部屋が提供されており、大都市圏以外にも物件があります。多くの場合ウェブサイトで表示されている金額よりもひと月当たりの費用はかなり多くなるので、問い合わせの段階で全費用を項目にして出してもらうようにしましょう。レオパレスは英語サイトおよび英語での対応部署がありますが、実際に契約書へのサイン時の重要事項説明や鍵の受け渡しの際は多言語対応スタッフがいる店舗での対応になるとは限りません。最初の物件選びの段階以外では日本語話者が付き添うことになります。また、入居申請と契約の両方で日本語が通じる保証人の電話番号・住所・生年月日などの情報を提供することになるので、用意しておきましょう。
一時的な電話番号
マンスリーマンションの契約であっても、銀行口座の開設であっても、常に必要なのが電話番号です。本人の電話番号として使える番号が必要なため、ほとんどの場合は携帯電話のSIMを購入することになります。事前にAmazonなどでプリペイドSIMを購入して用意しておくか、もし飛行機で入国する場合には、Mobalが空港で受け取れるので便利です。日本の電話番号なので長期間使っても問題ありませんが、より安いものが良い場合は、入国後に三大キャリアか格安SIMへ切り替えます。
ハンコの作成
日本での正式な手続きのあらゆる場面で登場するハンコですが、実はパスポートおよび在留カードに記載の氏名がアルファベットの場合は、多くの場面で本人の署名で押印にかえることができます。(中国・韓国・台湾の東アジア圏の氏名では漢字記載となりハンコが必要です。)
ハンコ屋で特注のハンコは2000円程度から、また受け取りまでに1日~1週間程度かかることがありますので、必要な際は来日後早めに作成しておきます。来日直後のハンコ地獄の時期が一番押印するので、早いほど面倒が少ないです。
重要な行政手続きと銀行口座開設
在留カードの住所登録
入国時に受け取る在留カードは、外国籍の滞在者・移住者にとって最もよく提示を求められる身分証明書です。ホテルやAirbnb(長期賃貸借契約を結んだ場合を除く)を住民票に登録することはできませんが、マンスリーマンションや一定期間居を定める場所については住民票をおくことができます。
市役所で在留カードの住所登録をすることで、住民票を発行することができるようになり、また在留カードの裏面に住所が記載されます。これが運転免許証並みにあらゆる場面で住所の証明として使えますので、居が定まったらすぐに登録に行きましょう。その後、転居した場合も市役所や市民サービスセンターで転居の手続きと同時に訂正されてきます。
国民健康保険と国民年金
日本国籍者の帰国時と同様に、住民票の転入手続きと同時に国民健康保険に加入するか聞かれます。勤務先等で健康保険に加入する場合を除き、国民健康保険に加入することになっています。日本学術振興会の外国人特別招聘研究員の場合は少し特殊で、日本学術振興会が留学保険をかけていますが、加えて、本人が希望すれば国民健康保険に加入できます。
日本学術振興会の奨励金は(税金は給与並みに引かれますが)給与として計算されず、国民健康保険・国民年金の徴収はないそうです。長期滞在中、国民年金に十分な期間加入・支払いをした後帰国して国民年金を脱退した外国籍者については、脱退時に申請することで脱退一時金を受け取ることができます。
銀行口座
住民登録ができたら、銀行口座を開設します。一般に会社で手続きする以外に個人で開設をする場合、全国に支店のあるゆうちょ銀行か、地域の地方銀行や信用金庫が口座を開設しやすいようです。口座開設に際しては、日本語ができる人の付き添いが必要です。ゆうちょ銀行は口座開設に際して予約をしなくてもよいとのことですが、他の銀行については事前に窓口の訪問予約をとりましょう。思ったより長くかかる(1~数時間)ことが多いようです。
東京・大阪(梅田)には大手銀行で英語対応をしてくれる行員さんがいるようです。
その他:運転免許証の申請
もともとの居住国で運転免許証を持っており、日本に旅行でなく居住を予定している場合は、日本で運転免許証を申請することができるようです。こちらは今回実践していないので、具体的な手順については警視庁の関連ページを参照ください。
国際運転免許証は元の居住国を離れて3ヶ月以上、さらに直前の滞在が1か月を超えない場合、無効となるそうなのでご注意ください。
一から運転免許を取得する場合、筆記試験は英語での受験が可能なようです。実技試験は日本語のみ。
長期滞在のための借家賃貸契約
物件探し
東京などの大都市で多言語対応スタッフが常駐している不動産屋を除き、賃貸契約についても日本語のできる人の付き添いはほぼ必須です。賃貸物件のあたりを付ける際には Best Estate Japan など多言語対応サイトで検討をつけ、同様の条件でSUUMO、At-homeなどの賃貸情報サイトで見てもらうとスムーズかもしれません。地方では選択肢が少ないため、多言語対応サイトのみで物件探しをするとなかなか思うような物件が見つからない可能性もあり、物件探しから契約、入居までサポートが欠かせません。
内見
条件に合う物件があったら、不動産屋へ連絡を入れ、内見をします。日本と居住環境が全く異なる場所から来た場合、いくつか物件を比べて価格と条件の対応を実際に見てもらうほうが納得感は出やすいでしょう。ガス・電気を自分で契約する必要があるか、クレジットカード払い対応か、等気になることは聞いておきましょう。
賃貸の場合は退去時に現状復帰費用・清掃費等を払う必要があることがほとんどのため、気に行った物件についてはこの時点で契約書を確認させてもらいましょう。
申込・契約
賃貸契約時には日本語対応のできる付き添いが求められることが多いです。契約日は契約書を読み上げる時間を考慮し、事前に余裕をもった時間を取って付き添いできる日に設定するのがよいでしょう。先に当該物件の契約書のコピーをもらっておき、事前に入居者と確認することも可能です。
引っ越しに関連して
入居物件のガス・電気・水道を個別契約する場合は口座引き落とし・クレジットカード払いなどのオプションも確認しておきましょう。
入居時には現状の写真を撮影したり、引っ越し後の住民票登録など、自分が引っ越しをする際に気を付けるポイントを伝えておくと良いと思います。